収納とは必要なものを必要な場所へ置くこと…右から左へ物を移す作業ではない! 

インテリア
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収納を考える前に、不要なものは捨てる、収納グッズや家具はできるだけ持たない、注文住宅を建てる場合はライフスタイルを十分シミュレーションし、ムダな収納スペースを作らないようにする。
これらを行ったうえで、いよいよ収納である。

長期保管? 一時整理? 収納するものによって異なる収納術

収納という作業に取り掛かる前に
1.長期保管するもの
2.一時整理するもの

を区別する。

1.長期保管するものを収納する

長期保管するものとは、普段はあまり使わないもの
これは人によって違うと思うが、例えば、年に1回、もしくは数年に1回は必ず使うもの、今後使うかどうかは未定だが、何かあったときに使うかもしれないものなど。さらには、今後必要になる可能性は著しく低いと考えられるもの、使うかどうかわからないものもある。

普段使わないものは、収納スペースの奥にしまい込んだまま何年も日の目を見ないこともあり、持っていたことすら忘れてしまうこともある。
そして、それを使うことなく生涯を終えることもある。これは、寿命を考慮してのことだけでなく、流行や環境の変化によることも多い。

それらが収納スペースの大半を占めている場合、考えるべきことは収納ではなく「断捨離」だ。使う可能性が低いものは思い切って処分する。
それでも処分できないものは、押入の奥、クローゼットの上部、納戸などに保管することになると思うが、保管したものを忘れないようにリスト化しておくとよい。

2.一時整理するために収納する

一時整理するものとは、普段(毎日、毎週、毎月)使うもの
こちらも、不要なものがあればまずは処分する。

そして、収納の前に、モノを探しやすく使いやすいようにするため、「動線」をチェックする
動線から離れたところに物が収納してあると、面倒になっていつしか別の場所に収納していたり、モノがあることを忘れて使わなくなったり、ということが起こりうる。
自分の生活パターンを考えて、それはどんな状態で、どういう手順で使うのか、イメージしてみる

ここからがやっと「収納テクニックの出番である」
収納には「隠す収納」と「見せる収納」があるが、「見せる収納」は、収納というより「インテリアテクニック」に近く工夫が必要なので、まずは「隠す収納」をメインにしたい。

その収納、本当に必要? 我が家の収納を見直してみる

すでに家を買った、建てた、借りてしまっている、素晴らしい収納家具を買ったばかり…な場合、「収納ってあんまり必要なかったなあ」と思っても、その状態を改善するのはなかなか難しい。
私の場合は、収納術の怖さに気づいた後、家を建てるチャンスがあったので、自分の経験から収納場所についてはしっかり考えて作った。
何かの参考になればと思うので、一応、それを書いておこう。

標準的な収納スペースは存分に活用する

海外に事情は詳しくないが、日本の標準的な家にはすでにあちこち収納スペースがある。

  • システムキッチンの収納(シンクやコンロ下、釣り棚、カップボードなど)
  • 洗面所(手洗い用ボウルの下、棚など)
  • トイレ(棚など)
  • 靴箱(そのものが収納)
  • 床下収納(主に戸建てや特殊マンションだけかもしれないが)

まずは、この作り付けの収納スペースは最大限利用する
ここに収納できないものを、その他の場所に収納するされることになるが、逆はなるべく避けたい(洗面所に収納できるものを押入に収納する など)。ストックが多い家にはありがちだ。
ストック品を収納する場合でも、可能な限り「洗面所の収納スペースに置ける量」など、範囲を超えないようにする。

その他の収納スペースは「置くもの」を決めてから

その他の収納スペースとは、クローゼット、物置、棚、押入などの、いわゆる「収納庫」といわれる場所である。
あればあるほどよい!と思われがちだが、収納スペースが広いと「何があったか忘れる」「探すのに疲れる」「居住スペースが狭くなる」「収納スペースのために家賃や固定資産税をせっせと払う羽目になる」など、あまりよいことはない。
なので「適度」な収納スペースがある方がよい。

ウォークインの収納スペースは向き不向きがある

ウォークインクローゼット、シューズクローク、ファミリークローゼット、パントリーなどが流行っている。
これらに共通するのは、収納スペースに加えて、ウォークするスペースがあること。

そもそも純粋な収納場所ではなく、小部屋(納戸)のようなものだ。
寝室の横に「洋服などを置く部屋」があり、キッチンの横に「食器や食品や雑貨などを置く部屋」があり、玄関の横に「靴などを置く部屋」があるイメージ。

その部屋に物を取りに行き、またそこに収納しに行く、という動作が苦にならない場合そのスペースをきれいに整頓する自信がある場合は、おそらくウォークイン系が向いている。

けれど、小部屋は「一時モノ置き場」になりやすいためごちゃつきやすく、また思ったよりも「ものを置けない場所」が多いため、収納力は劇的に増えるわけではない。収納力を増やすには、かなりゆとりを持たせてそのスペースをつくらなくてはいけない、他の部屋とのバランスも見る必要がある。

また、パントリーに関しても同様。
パントリーにわざわざ何かを撮りに行くのが面倒だったり、モノが増えて管理が大変になる可能性も十分考慮したい。もしも「ホームベーカリーを置きたい」「ウォーターサーバーも欲しい」などと考えたときは置き場に困るかもしれない。だが、過剰なキッチン家電を使いこなす自信がない場合は、最低限の家電の方が何かと楽である。

理想の収納は「壁一面」のクローゼット(物置)

扉を開けたら、欲しいものがすぐに探せる、それが収納の理想だ。
使う場所の近くにあるとなおよい。

例えば、洋服は着替えてメイクしてバッグを持った状態で鏡の前に建てる場所(我が家の場合は寝室)が便利だ。
服を着替えた後に「なんだかしっくりこない」という理由でコーデを変えるときも、その場で脱ぎ着できる。

となると、「壁一面にクローゼット(奥行は60㎝~90㎝程度)」や「奥行30~50㎝の棚」などの収納スペースが、やはり最も使い勝手が良いかもしれない。
手を伸ばせば、欲しいものがそこにある、そして扉を閉めさえすればお部屋もキレイ…
やはりそれが理想かもしれない。