ステキなインテリアはイメージするところから

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もしも湯水のようにお金と時間を使えるなら、ありったけの理想を詰め込み、今流行りの素敵な家にしたい。
けれど、実際には家にばかりお金をかけられない(かけたくない)とか、管理やメンテにも時間を費やしたくない、ということもある。
それに「今流行の素敵な家」という価値観は、数十年経てばどうしても古臭い印象になってしまう。服やバッグ、スイーツなどとは違い、価値観が変化したからといって、まっさらな状態から新しいものに変えることができないのが、家(部屋)づくりの難しいところ。

だから、家(部屋)は、流行ではなく自分の「好き」をとことん追求したい。

よくないのは、漠然と「モデルルームみたいにしたい」「生活感をなくしたい」と考えること。「モデルルームみたいな部屋」とは、具体的にどんな色彩なのか、どういう雰囲気なのか、よくわからない。そういった漠然としたイメージで部屋づくりをしようと思うと、単に「かわいいと思った雑貨」「人気がある家具」などを選んでしまい、実際に部屋に置くといまいちしっくりこない…ということになりかねない。

自分が思う「ステキな部屋」をイメージする

「おしゃれな部屋」「センスのいい部屋」「ステキなインテリア」と一口に言っても、そのイメージするところは人それぞれだ。
例えば、単純に「北欧風」「リゾート風」と言っても、人によって微妙に具体的なイメージが異なることも多い。まずはもう少し具体的に理想の部屋を描いてみよう

センスがなくてもイメージが沸かなくても、一人ひとり必ず「こういうのがいいな」「こういうのは嫌だ」というものはあるはず。何でもいいから思いつくことをランダムに上げてみよう

こんな部屋に住みたい!というイメージを適当に考えてみる
  • 街角のカフェみたいな「ちっちゃなセンス」が光る部屋
  • フランスのお城みたいなゴージャスでリッチな部屋
  • しっとり落ち着いた和風の部屋
  • ポップで明るい陽光が溢れる南欧風の部屋
  • 南の島のリゾートホテルのようなアジアンな部屋
  • ドラマやCMでチラッと観た「あの女優の部屋みたいな感じ」
  • サーファーが集うビーチっぽい感じ
  • キティちゃんが住んでいるようなピンクっぽい部屋
  • 無印っぽいシンプルで温かみのある部屋

写真でイメージを具体的にしてみる

上記では「言葉」でイメージを書いたが、上記のように言葉にするよりも、実物を見た方が早い。ネットを駆使すればインテリアの写真はあちこちに転がっているので、気に入ったインテリアの写真があったら、とりあえずどんどん保存しておく

何十枚か集まったら「この部屋のどこに自分が惹かれたのか」を分析してみる。そうすると、自分が思い描いている「シンプル」とはどんな感じなのか、「カフェみたいな部屋」というのはどんなカフェを描いていたのか、が具体的になる。

このイメージがある程度できていないと、「シンプルな家具」と「シンプルな雑貨」を買って実際に部屋に置いてみても、なんだかちぐはぐになることもある。シンプルといっても、モノトーンだったりナチュラルなシンプルさだったり、単にモノが少ない状態だったり、モノは多くても「まとまった感じ」であったり…と、具体的な状態はずいぶん違う。

自分のイメージがしっかり決まっていたら、物を選ぶときに、単に「かわいい」ではなく、「イメージに合っている」という理由で買うようになる。すると、インテリアが段々統一されて、全体がおしゃれに見える。「色彩」「質感」が決まってくるからだ。
自分の「好き」をとことん追求することが、ステキなインテリアの第一歩になる。

今の状態に合わせたインテリアを目指してみる

真っ白な状態からお金をかけてインテリアをコーディネイトするのは難しくない。理想の部屋の写真を見ながら同じように部屋を作ったり、インテリアショップに行ってモデルルームの家具や雑貨を買えばよいだけだ。

だが、すでに手持ちの家具があったり、部屋もリフォームするほどのお金はない…というなら、「今の状態でできるインテリアのコーディネイト方法」を考えるしかない。
本来は「イメージ」→「インテリア」の順で考えたいところだが、既に長く生活をしている場合、今さら大幅にものを買い換えたりするのが難しい場合は、「インテリア」→「イメージ」にした方が手っ取り早い、ということだ。

ただし、この場合も自分の『イメージ』をしっかり描いてから。

然好みではない内装を活用して好みの内装にした例

かつて住んでいたのは、80年代半ばに建築されたアパート。居住したのは2000年代だったが、設備も間取りも古びていた。
そして、何より内装! 特に玄関の扉が鮮やかなオレンジ色に塗られていた。元々は違う色だったようだが、その派手なオレンジ色からは、昭和の香りがむんむんと漂っていた。
なぜ紺とか白とかの無難な色にしようとしなかったのかと、その色を見るたびブルーになっていた(ドアもブルーならよかったのだが)。だが、賃貸なので、いくらこの色が嫌いでも勝手に塗りなおすわけにもいかない。

嫌いだが簡単に変えられない内装の色はどうする?

まず考えたのは、「色を隠すこと」である。塗りなおせないのなら、リメイクシートを貼る、布をかけるなどの方法もある。だが、この家は結露もひどく、玄関ドアに直接細工をすると、カビの温床になる未来しか見rなかった。

そこで、発想を転換することに。それはこのオレンジのドアを自分のイメージするインテリアに取り入れること。
インテリアのテーマはリゾート風の「ナチュラルアジアンシンプル」。本当はバリ島風のインテリアにしたかったのだが、このオレンジ色を「夕焼け色」に見立てた。そして、夕焼けをイメージした絵を玄関の壁に飾り、靴箱の上に木彫りの置物などを並べた。
すると、ドアのオレンジ色が逆にスパイスになり、最初から「温かく明るい夕焼けのイメージ」をねらっていたような、ナチュラルな感じの玄関になった

恐らく真っ白な状態から好きな色を使ってインテリアを作り上げていたら、この発想は生まれなかっただろう。なぜなら「スパイスになる色」を考えるのは案外難しいのだ。

自分の思い通りのインテリアが難しいと思ったら、既に設置されている設備や手持ちの家具など、部屋のなかで目立っているものの色や質感を生かしてみると、意外とおしゃれでセンスよい空間が生まれる。
部屋は純和室なのにヴィクトリア調にしたい、というのは、成功すればステキな部屋になるかもしれないが、ちょっと上級者のテクニック。下手すれば野暮ったいだけのインテリアになってしまう。
和室で欧米風を目指すなら「日本好きな外国人が住みそうな部屋」や和室で使われている「畳の茶色」「砂壁の緑色」などを取り入れたファブリックなどで洋風に近づけた方がまとまりやすい。