「着る服だけ」のクローゼットを作る~服の数をあえて100着にしてみよう 

ファッション
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「着る」という簡単な作業で、自分の世界を大きく変えてくれる、服。
服と上手に付き合っていくために、「自分だけのクローゼットを作る」ことをめざしたい

自分だけのクローゼットとは、「自分が着る服、お気に入りの服、役に立つ服、自分をきれいに見せてくれる服」だけが収納されたクローゼットのこと。
着ない服、好きではない服、役に立たない服、きれいに見せてくれない服…を、収納しておくのは、場所も時間ももったいない。

服は何着あればいい? 適切な服の数の考え方とは

着る服だけのクローゼットを目指そう

自分だけのクローゼットを作るために、まずは「着る服だけのクローゼット」を考えてみる。
着る服、というのは、つまりは一人の人間が着る服のこと。

服に対する価値観は人それぞれだと思うが、一つだけ言えることがある。
着る人間は一人。1年は365日。
当たり前だが、どんなにお金があっても収納場所があっても、一人の人が一度に着る服は「1コーデ分」である。
十二単の時代じゃあるまいし、重ね着するにしても、下着を除けば、一度に着るのは2、3着~せいぜい5着程度まで。

1日のうち、そう何回も着替えないこと、服を洗濯して複数回着ることを考えると、「服の数」については、一度しっかり見直した方がよいかもしれない。

ある程度多いとおしゃれも楽しめるが、もしも1000着の服を持っていたとしても、1日の途中で「お色直し」するなどのマリー・アントワネットのような暮らしをしない限り、1年で手持ちの服をすべて着ることは不可能だ。
(数年かけて着ればよい、という考え方もあるが、数年後に着る服を「今」持っておく必要があるのだろうか?)

1着の服を着る回数を計算してみる

そういった大前提に基づいて、1着の服を年間で何枚着るのか検証してみる。

服の数1着の服を1年間で着る回数
10枚なら約37回(36.5回)
50枚なら約7回(7.3回)
100枚なら約4回(3.65回)
200枚なら約2回(1.82回)
( )内は実数だが、わかりにくいので四捨五入した数字を先に書いている

ちなみにネット調べによると、服の所有枚数は一人当たり80~100着だという説もあれば、女性は200着くらい持っているという説もある。

ここではとりあえず、100着所有していることにして、1枚の服を1年に何度着るか見てみると、約4回程度で、3か月に1回着る計算になる。
ただ、実際にはトップスとボトムスの組み合わせ(ワンツーコーデ)で着ることが多いので、単純にトップスとボトムスの数が同じだと考え、50枚(一日2枚)で計算してみると、1着の服を1年に7回程度着る計算になる。

たった7回なのか、それとも7回も着るのか…
この辺の感覚は人それぞれかもしれないが、個人的にはせっかく気に入って買った服を、1年で7回程度しか着ないのはもったいないと感じてしまう。

シーズンやシチュエーションによって、どうしても1年中着ることができない服もあったり、「30回程度着ている服」と「1、2回、いや一度も着ていない服」が混在していたり、トップスはボトムスに比べると着る機会が多い、などという状況もあるだろう。

ただし、そういった細かいことは置いておくとして、単純に数のみで考えると「やはり「100枚くらい(年間7回着る計算)」の服を持つというのは、理想のような気がする。
これでは多すぎる、少なすぎるというのは人によってあるだろうが、100というのは切りのいい数字なので、とりあえずこれを一つの「着る服の数」として設定してみよう。

服の数を100着程度にすることのメリットについて考えてみた

仕事上、どうしてもたくさんの服が必要だったり、服を買うことが自分にとって大事な趣味である、という場合を除き、服の数は「適正」に越したことはないと思う。
その理由を挙げてみよう。

服の数が適正だと、収納スペースも適正

服が多い最大のデメリットは洋服代がかかること!
…と言いたいところだが、今はプチプラ洋服が手に入れやすい時代、1万円あれば10着買うことも可能であるため、むしろ服が増える最大の原因になりやすい。

何故服が増えるのか。
それは、買うから。そして、収納スペースがあるから。

広い家はもちろん、収納スペースたっぷりを謳ったマンションや建売住宅も大人気だし、収納場所が確保されていなければ「収納家具」を買えば、あっちもこっちも収納スペースに早変わり…

しかし、収納スペースにも家賃や固定資産税がかかっている…。
そんなことが気にならない人、収納が得意な人の場合は、これはデメリットでも何でもないかもしれないが。

私は、かつて、多くの服を所有していた。
クローゼット(幅2mほど)に洋服と衣装ケース4段とミニ衣装ケース3段、別の箇所に4段のチェスト、衣装ケース7、8箱(シーズンオフの服など用)
時には「圧縮袋」を使い、ぎゅうぎゅうに服を押し込めていた。

改めて振り返ってみると、一体全体何をそんなに所有していたのか、呆れるより他ない(ちなみに収納していたものには、パジャマ、下着、ストール等の小物含む)。

しかし、なぜそんなに所有できたのか、今はわかる。
「収納スペースなど、際限なく作り出せる」という、今となっては自慢にならないテクニックを、私が身につけていたからだ。

現在は、クローゼットの中に衣装ケース7段で、下着もシーズンオフの服も含め、すべての自分の衣類を収納できている(まだまだ改善の余地があるが)。

服の数が適正だと、管理しやすい

収納スペースはお金や収納テクニックで解決できるとして、多すぎる服を管理するのはそもそも大変で面倒くさい。
服が多すぎると…

  • 持っていることを忘れる。お気に入りのはずなのに、シーズン中1度も着ずに終わることも。
  • 所有している服を把握できないと、同じような服を買うなどの失敗をしがち。
  • 結局、気づけば同じ服ばかり着ていることも。
  • ほとんど着ないまま、翌シーズンには好みや流行が変わっていたりして、何年も「タンスの肥やし」になることも。
  • 着用する頻度が低いと、なかなか劣化しないため処分しにくい。

何にでも言えることだが、多すぎるものを管理するのは楽ではない
管理するための労力を使って、その成果が出ればよいが、多すぎる服をきちんと管理し、きれいに着こなすテクニックは、相当の上級者でないと難しそうだ。

服の数が適正だと、お気に入りの服を何度でも着ることができる

多くの服を持つのに向いている人は、服を使い捨て感覚で1、2回着用したら処分する人や、1日に何度もお色直しする人、とりあえず服を買うのが好きな人、くらいかもしれない。
また、「自分に似合う服」が分からず、色々試して買ってみたい人もそうだろう。
「若い人」であれば、そんな風にして服と付き合っていくのもよいかもしれない。

しかし、今の自分はそのどれにも当てはまらない。
質の良い服の方が、着心地よく、シルエットやデザインもよいので、それを長く着たい。
お色直しなどほとんどしないし、服をコレクション(だけ)する趣味もない。
そして、若くもない。

確かに若い頃はあらゆるタイプの服を試してみたが、今は「自分を輝かせてくれる素敵な服」だけ着る方が幸せを感じる

服が少ないと、お気に入りの服を何度でも着ることができる。
裏を返せば、服を買う時に適当ではなく「お気に入り」の服を買うことになる。

また、その少ない服を
「どんなふうに着こなそうか。今日はカジュアルダウン? フォーマルアップ? オシャレカフェに行くから流行をちょっと取り入れてみる? デパコス買いに行くから品の良いマダム風?」
などと、自分の中で「この服を着た自分とその背景」を思い描いてコーディネートするので、段々服のセンスも上がっていく(気がする)。

お気に入りの大好きな服を、何回も素敵に着る、というのは、服の数が多いと難しい。

服はあります。着れる服はありません⁈

服はあるのに服がない、その不思議な理由とは

かつて、所有しているすべての服を書き出して合計してみたことがある。
その数、200着を超えていた。
もしかしたら、若い頃にはもっと所有していたかもしれない。

それなのに、毎日のように「着る服がない」と思い、毎シーズンのように買い足していた。
奇抜な服ばかりで組合せに困る…というわけではない。
むしろ、そんなことにならないよう、ある程度は質の良い服をできるだけ長く所有し、定番の色、デザインを中心にそろえていた。

それだけの数の服を持っていれば、「着る服がない」なんてことはあり得ないはず。
なのに、「今日、〇〇の目的で服を着たいのに、そのための服がない」という状況に陥っていた

例えば…
「部屋でのんびりしたいのに」
「友達と会いたいのに」
「美容院に行きたいのに」
「肌寒くなってきたのに」
「このスカートにカジュアルな感じでトップスを合わせたいのに」…


服はたくさんあるのに、ちょうど今着る服がない! もしくはいつもと同じ服しかない!

要するに、200着の服のうち、実際に「着れる服」はその一部しかなかった
というより、着ない服の方が多かったのだ。

出番のない服のことを「2軍の服」と称されることもあるが、2軍選手ばかりを抱えた野球チームのようなもので、これでは戦えない。
仮に、勝負下着を身につけていても、見える部分で負けが確定しているようなものだった。

服の数ではなく「着れる服の数」を持つ

つまり大切なのは、服の数ではなく「着れる服の数」なのだ。
我が家は特に広い家ではなく、ウォーキングクローゼットなども備えていなかったが、収納場所など作ろうと思えばいくらでも作れる。
しかも、ムダに「収納テクニック」だけは磨いてきたため、収納しようと思えば200でも300でも何とか収納できるのだ。

けれど…もしも服を300着、いや500着所有していたとしても「着る服がない」と悩んでしまっていただろう。
持っていることを忘れるし、結局同じような服ばかり買ってしまうだろうし、何も考えずに買ってイマイチな服ばかりになりそうだし…
それが、「多すぎる服を持つことの悲惨な末路」である。

よい点と言えば、「いつでもメルカリに出せる服がある」とか「5年前に買ったきり忘れていた服と再会できる」「持っているだけで思い出に浸れる」ということくらいだろうか。