老後「2000万円問題」から自分の未来図を見る

家計管理
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老後について、年金について意識しはじめたのは…やはり50歳前後だという人が多いのではないだろうか。
それ以前は、仕事でのスキルを上げたり、やりたいこと、叶えたい夢を考えることでいっぱいだ。
そんな生き方をしていても、それは間違いではない、と思う。
若いうちは、老後のことなど考えずに思い切り楽しめばよいのだ(といっても、私自身は楽しむというより必死に生きてきた感じだが)

ただ、自分にとって良かったのは、大事にしてきたことが2つあったことだ。
それは、健康とお金
ちなみに、他にも大切なことはたくさんあるが、ここでは「老後を生きるために」という観点からの話。

健康とお金はどの世代にとってもそれらは大切なことだが、努力でそれらを手に入れられる可能性が大きい若い頃と比べると、今後はそれが難しくなってくるし、逆に言えばそれらがあれば、老後の問題はクリアできる部分がかなり大きい。
とはいえ、健康に関しては、どんなに備えていても個人差もある部分だから、せめてお金についてはきちんと考えておきたい。

2019年、「老後2000万円問題」が話題になった。
そこから「2000万円が必要なのか!」「ほんとにそれで足りるのか!」と大騒動になったが、「老後にいくら必要なのかを、ちゃんとし計算しておかなければいけないなあ」と考えるきっかけにもなった出来事だった。

今回は老後「2000万円問題」から自分の未来図を見る3つの方法について考えてみた

老後2000万円問題の実態

老後2000万円夫婦の「支出」を見る

そもそも2000万円問題の試算には、「モデル(2000万円夫婦 ※夫は会社員だったが現在は無職の65歳、妻は専業主婦の60歳)」がいる(実在するかどうかは不明)。
この夫婦の月の生活費は約28万円
その内訳は以下の通りである。(実際の報告書には1円単位まで記載されているが、面倒なので端数は略)

食料65,000円
住居14,000円
光熱・水道20,000円
家具・家事用品10,000円
被服6,000円
保健医療15,000円
交通・通信30,000円
娯楽等25,000円
その他(交際費、仕送り金など)55,000円
税金・社会保険料31,000円
2000蔓延夫婦(2人世帯)の生活費(28万円)の内訳 ※金融庁の試算による

2000万円夫婦の収入と「赤字」を見てみる

一方、収入(月)は「平均的な年金」である23万円
収入(23万円)ー支出(28万円)で毎月約5万5,000円の赤字(ここでは適当計算なので5万円だが)。
そして、夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間、夫婦とも健康だとしたら、この毎月5.5万円の赤字が30年間続く(2,000万円)ということだ。
だから、年金とは別に赤字部分(2,000万円)が必要、というのが「報告書」の内容である。
(ちなみに単身者の支出は15万円程度と言われている)

ここからわかる大切なことがある。
それは、自分がこのモデルケースに完全に当てはまるわけではなく、これはあくまで「一例」に過ぎないということだ。

自分を「モデル」にしてみる

モデル夫婦と自分を比較してみる

実際には、2000万円必要なのか、それでは足りないのか、あるいは不要なのか、人によって異なるし、「平均的な暮らし」だったり「ゆとりある暮らし」という感覚も人それぞれ。
どれが正解なのー!!と叫びたくもなるが、もう一つ言えることは「正解はない」かもしれない。
正解は自分が作るものだ。これまでの人生のように。

と、かっこよくキメたところで、モデルではなく「マイケース」として、改めて支出を考えてみる。
モデルケースの夫婦と共通するかもしれない部分と、そうでない部分がある。

共通(であろう)もの
 食料(65,000円)、光熱・水道(20,000円)、交通・通信(30,000円)、家具・家事用品(10,000円)
予測はつかないがとりあえず平均に合わせておくもの
 被服(6,000円)、保健医療(15,000円)、娯楽等(25,000円)、その他(55,000円)、税金・社会保険料(31,000円)
多分、かなり異なるもの
 住居費(14,000円)

モデルケースはあくまでモデルだが指針にはなる

こうやって見ていくと、「もしかしたらもう少し節約できるかもしれない」と思うものや「これは少なすぎるのでは」と思うものもあるが、自分にとって最大の問題は「住居」だ。
というのは、モデルケースでは「住宅ローンや賃貸料がない(よく見たら管理費もないので、戸建てか住居費が管理費?)の持ち家」になっている。
現在、我が家は戸建ての持ち家でローンもないので一緒!…と言いたいところだが、事情があって老後のどこかのタイミングでは、この場所を離れなければいけない。
その際に住居費14000円で住める場所を探そう!
というのは…さすがに無理だ。

多分、モデルケースは「モデルと言いながら、結構恵まれている気がするどこかの夫婦」なのだ。
ただ、自分の置かれている現状や将来図と照らし合わせることはできる

モデルケースの中の減らせるところは極力減らすと、ある程度は住居費の補填になるし、それでも足りないと思えば、今頑張って投資なり貯金なりするかな…
おぼろげながら、人生設計もできそうだ。

老後はエンドが見えないが…

老後っていつからいつまで?

老後のプランというのは、これまでの人生設計とは違い、かなり難しい。
受験、就職、結婚などは、ある程度の「時期」が基準となるが、老後については、「途中経過」も「エンド」もわからないし、自分の意思や努力だけではどうにもならないのだ。

「途中経過」として、いつまで健康か、介護される期間はどのくらいか、闘病生活もあるのか…50代ではわからない。
「エンド」、つまり死亡時期についてはさらに不明。

エンドが80歳なら、80歳までをどう生きて、そのためには何が必要か。
うっかり100歳を超えてしまったら、20年間以上という松井秀喜選手の野球人生に相当するくらいの長い時間が、「延長戦」みたいな感じになる…これ、いつ終わるの?と。

こういうところは意外ときっちり考えたいタイプの自分としては、20年もの(もしくはそれ以上)の誤差があるものに対しては、思考停止してしまう…

とりあえず老後をシミュレーションしてみる

だが、「予定は未定」でよいので、今できることとして「シミュレーション」がある。
とりあえずシミュレーションというより、希望をまとめてみたい。

60代
自営なので定年がないうえ、夫の趣味と生きがいが「仕事」なので、多分60を過ぎても収入はあるのではないかと思う。

それよりも最大の不安は、2016年生まれの愛犬のこと…。
何とかペットロスを乗り越えて生きていきたい。
愛犬への愛情とは比較すらできないが、海外旅行と物書きも「好きなこと」なので、それらで気を紛らわそう…というプランニング。(本当にペットロスだけが恐怖である)

70歳~79歳
まだまだ元気な人も多い年代だが、夫も仕事はさすがに辞めて、年金暮らしだろう。
健康であれば、60代の生活を続ける。

80歳~
今の家には住めない予定なので、サービス付き高齢者住宅で悠々自適な生活を送る。
ただし高齢者向けの住宅はまさに「ピンキリ」である。
そのときに「入れるところ」に入ろうと考えている。
(ただ、実母は70代で病気になり、79歳で生涯を終えているので、「健康な70代」そして「80代」というのは、ある意味未知の世界でもある)

これが自分の未来図だ
もちろん、この通り行かない可能性も当然あるが、その時々で軌道修正するしかない。

老後の支出と未来図を考えてみたら、必要なお金が見えてくる。

それでは結局、自分の理想の老後を生きるために、お金はいくら必要なのか。 

miona(夫婦)が老後に必要な本当のお金

支出について

60~80歳の20年間約28万円/月(336万円/年)の20年分:6,720万円
80~95まで高齢者住宅40万円/月(360万円/年)の15年分:5,400万円
支出計1億2,120万円

収入について

年金:約23万円(276万/年)の35年分:9,660万円(年金額はmiona家のものではなく平均値)

支出ー収入=2,400万円 ←これが足りない分

ここからわかること、そして今できることは…

  • 80歳から住みたいと思っている高齢者住宅のランクを下げる
  • 老後の生活を工夫して支出を抑える
  • 年金の受給額を「65歳」ではなく「70歳」からにする(繰り下げ需給はかなり受給額が増える)

この試算だと、「2,400万円程度貯金があれば、理想の老後が送れるが、それが無理でもちょっとずつ工夫したり、ライフスタイルを変えたりしていけば何とかなる」ということだ(よかった)。また、インフレも一応は考慮しておいたほうがよいかもしれない。

「何が何でも立派なサ高住に入りたい」と思えば、今お金を貯めるのもよいし、今は今で楽しんで、残ったお金で何とか暮らすと考えてもよい。
未来が見えると、ちょっとだけ安心する。

定年後に働いたら年金が減る? 年金の「落とし穴」について知っておく

老後にもらえる(はずの)年金。「〇〇円くらいはもらえるだろう」と皮算用していても、その金額が想定と大きく異なれば、老後のプランも違ってくる。
今のうちに「正しい年金額」について理解しておきたい。

公的年金制度(A:国民年金、B:厚生年金)
65歳以上は全員Aは支払われるが、収入があるとBの金額が減額または支給停止される(在職老齢年金)。厚生年金の月額+月額賃金が50万円以上が対象。
支給停止額の計算:(厚生年金の月額+賃金-50万円)÷2 ※厚生年金の額を超えたら全額停止。

収入(給料)があっても年金を受け取るには…

  • 厚生年金の月額と賃金の合計を50万円以下に抑える。
  • 厚生年金に加入しないで働く。

70歳まで厚生年金に加入することのメリット

収入に応じて年金受給額を増やせる、引き続き社会保険の保障を受けられる