人生でどん底の時期…というのは誰にでもある。ない人もいるだろうが、少なくても自分は何度か「どん底」を経験している。
ある時期、ものすごい「どん底」を感じていた時期があった。当時の自分は、仕事も家族もあり、お金にも困っていなかったし、健康や人間関係で悩んでいたわけでもなかったが、人生の先が見えずに、毎日訳もなく涙して、ストレスで体中に蕁麻疹が出現するようになっていた。要するにメンタルのどん底にいたのだ。
そのまま過ごしてもよかったのかもしれない。死ぬように生きていくだけで。
だが、蕁麻疹だけは辛かった。全身に地図を描いたような赤み、そして眠ることも許されないかゆみ。
ストレスがこんなにまで体に影響するものなのかと、初めて知った。
そこで、メンタルヘルスの改善に良いとされる、漢方やヨガやアロマや、いろんなことを試したが、目立った効果は感じられない。
そんなある日、「引き寄せの法則」に出会った。
漢方やヨガやアロマ以上に胡散臭い改善方法のような気もしたが、当時、ストレスで溺れそうになってアップアップしていた自分にとっては、「そんなもの」にもすがりたかった。例えそれが、水面を漂う細くて小さな藁であっても。
だが、「引き寄せの法則」は、その後の人生の方向へと導く、ロープのようなものになった。
引き寄せの法則とは
思考は現実化する
引き寄せの法則とは、「思考が現実化する」というもの。
つまり自分が欲しいことを思考すれば、欲しいもの、歩みたい人生を引き寄せられる。
そんな法則のことだ。
例えば、「○○大学に合格したい」と思えば合格し、「彼氏が欲しい」と思ったら彼氏ができる、という。
いやいや…いくら何でも眉唾にもほどがあるでしょう!
と、最初は考えた。騙されないぞ、と。
思考するだけで何もかも手に入るなら、自分はそもそも何も思い悩むことはない。みんなが欲望に任せてあらゆることを願えば、世界はめちゃくちゃになっているのでは、と。
だが、藁をもつかみたい自分は、とにかく「疑う」という気持ちは一旦脇において、引き寄せの法則への扉を叩いてみることにした。
思考とは
人は一日に10万回思考しているらしい。
10万回!
これは、私がペットを撫でる回数よりも、つばを飲み込む回数よりも、発する単語の数よりもずっと多い。1回の思考を1円としてお金に換算すると、毎日10万円分思考している計算になる。
「思考」とは、それほどまでに自分の生活の大部分を占めているのだ。
思考という習慣、お金だと10万円、これを「引き寄せるための思考」にしようというのが、引き寄せの法則である。
引き寄せの法則は簡単2ステップ!
引き寄せの法則のやり方は非常に単純だ。
欲しいものを考えてお願いするだけ。
といっても、やり方にはちょっとコツがある。
本当に欲しいものを明確にして書き出す
- まずは自分が本当に欲しいものは何か、自分の人生がどうなって欲しいかを明確にする。
- そしてそれを決めたら書き出してお願いする。
引き寄せの法則をイメージするには、自分が宇宙の真ん中にいて、そこから宇宙で一番強力な電波を発信している放送局だと想像してみればいいという。または磁石だと考えて、欲しいものに対して周波数を合わせる。
欲しいものが明確でないと複数の周波数を放射して、ぼんやりとしたものしか引き寄せられない。
すでに受け取っていると信じる
- お願いしたものは「まだ持っていない」ではなく、「すでに持っている」と信じこむ。
- 例えばネットショッピングでポチった後、不安になって何度も同じものをポチる…なんてことはしない。何らかの事故が起こらない限り、ポチったものは自分のものになることが分かっている。まだ手元にはないけれど、既に所有しているのだ。
- 一度お願いしたら、後は届くまで(願いが叶うまで)のんびり待つ。
この「すでに所有している」という感覚が、引き寄せの法則でもっとも重要。
そして、慣れるまではちょっと難しい部分でもある。
○○したい、○○できますようにではなく「すでに○○である」と信じる
例えば、「幸せになりたい」「○○が手に入りますように」と願いがちだが、それはつまり「今は幸せではない」「今は○○を持っていない」と思考しているのと同じ。
すると、「持っていない状態」を引き寄せることになってしまう。
だから「私はすでに○○を持っています。ありがとうございます」と思考する。
望んでいるものが自分のものになった! その素晴らしさを、望むと同時に実感する。それは嬉しいことで嬉しいこと。想像するだけで口元が緩む。
そういう気分になると、自分に向かってやってくる素晴らしいものと同じ周波数の上にいることができる。気分の良い周波数に同調する。
欲しいものは必ず現在形で書く
- 「すでに持っている」とイメージするためには、「私はいま、幸せです~」と始めると書きやすいという。「私は幸せですが、ワンコと暮らしています」といった風に。
- やり方として「○○ごっこ(持っているふり)」をしてもよい。
すでに持っている、と思えなかったら「すでにある」ものに感謝する
とはいえ、「すでに持っている」と信じなさい…と言われても、実際には手元にないものを「持っている」と考えるのは難しい。
それならば、まずは今持っているものに対して感謝してみる。
「私は今朝もちゃんと起きられました。ありがとうございます」
「コーヒーがおいしかったです。ありがとうございます」
など。
欲しくないものを考えない
人は「欲しくないもの」を考えがち⁉
実は、多くの人は「欲しいもの」よりも「欲しくないもの」について考えている時間が長いのだという。
そんなわけない。欲しくないものをわざわざ考える人など、いるのだろうか。
と思っていたが、お願いするときにほしくないものを「対象」にしてしまうことが往々にしてある。
例えば、「私は遅刻したくない」と願ったとする。
これは悪いお願いの例。
なぜなら、「遅刻」を「お願いのターゲット」にしてしまうから。つまり、「遅刻」という未来を描いてしまうのだ。
だから、「遅刻しない」とか「間に合う(間に合わない状態をイメージしている)」と願うのではなく、例えば会社への遅刻だったら「9時にデスクで作業をしている」ということを願って引き寄せる(そんなことを引き寄せようとする人はあまりいないかもしれないが)
「引き寄せの法則」は否定形かどうか判断しない
引き寄せの法則は、否定形(○○したくない)は関係なく、「○○」という未来を引き寄せてしまう。個人的な感情や善悪の判断もせず、ただ願った対象だけにターゲットを当てる。
起こって欲しくないこと、怖いものや避けたいもの(○○さんと一緒に仕事したくない など)に意識を集中しがちだが、引き寄せの法則は「○○さん」「一緒に仕事」の部分を引き寄せてしまうことがあるので気を付けたい。
日頃から、思考や発している言葉に注意を向け、否定的なことは考えないようにする。
どうすれば実現するの?とは考えない
例えば「彼氏が欲しい」と願ったとしたら、それはどのように実現するのか、どうしても考えてしまう。
だが、そんなことは考える必要がない、というのが引き寄せの法則。
「それがどのように起こるのか」という思案は「それをまだ持っていない」の思考に繋がるから。
ネットショッピングに例えると、クロ〇ヤマトか、佐〇急便か、ゆうパックか…ということはどうでもよい(気になる人もいるかもしれないが)。注文したものがきちんと届きさえすればよいのだ。
過程ではなく、結果だけを引き寄せるのが引き寄せの法則。
書き方には気を付けよう
私は「ペットの健康に気を付ける」と願い、そう記していた。
ところが、年明け早々、ペットが病気になってしまった(今は落ち着いている)。
これは書き方がよくなかったのだ。
「健康に気を付ける」は「今は健康ではない」ようにも見える。「この先もずっと健康でいられる」と書くべきだった。
書き方、願い方は本当に気を付けないと、思いもよらぬところに周波を合わせてしまう。
また、引き寄せ体質が強くなっているときは、来客がある日に「今日は忙しいから別の日だったらいいのにな」と考えていたら、来客が社会人人生初の「寝坊」というまさかの事態で別の日に変更になった、ということも。「交通事故」等ではなくてよかったと胸をなでおろしてしまった。
とにかく続ける!
まずは、毎日の生活の中で上記のことを気を付けたい…が、実際、本気で気持ちを込めて感謝するのは簡単ではない。
どうしても、「引き寄せの法則に必要だと書いてあったから」と、棒読みのような感じで「アリガトウゴザイマス」と思考したり、「こんなことほんとに実現するのかな」などと考えてしまう。とはいえ…
自分が幸せだと感じていない時に「幸せですが」と書くのは難しい。どうしても嘘を書いている気持ちになる。
それに、「実際に持っていないものを、既に所有している」という感覚もわかりにくい。いくら感じようとしても、どこかで「そんなことあるわけないし」と思ってしまう。
それに、すぐに引き寄せの効果が出る人もいるというが、いつまで経っても何も起こらない、という人もいる。
ただ、例え半信半疑でも、ある程度、数年程度は緩くでもよいので、上記のような思考を続けた方がよいと思う。
すると、思考が変わる。
引き寄せの法則を調べていると、出会うのが、マザーテレサの言葉だ。
思考に気をつけなさい それはいつか言葉になるから
言葉に気をつけなさい それはいつか行動になるから
行動に気をつけなさい それはいつか習慣になるから
習慣に気をつけなさい それはいつか性格になるから
性格に気をつけなさい それはいつか運命になるから
私の場合はこのステップが非常に重要だったことに、後から気づく。
「感謝の癖」は、幸せになるために何より大切なのだ。
引き寄せの法則には、これは、ある程度の慣れ(思考の傾向をゆっくり変えていく)と、そのための時間が必要な部分かもしれない。
引き寄せの法則で最もしてはいけないことは、結果を急ぐことだろう。
引き寄せの法則を「知る」だけで一歩を踏み出せる
引き寄せの法則とは、何か特別な思考法だと思っていたが、よく考えてみると、当たり前の考え方なのだ。
人は自分が引き寄せられている方向に向かっていくもの。
例えば、「最近、動物病院が増えたな」なんて思うことがある。それは、自分がペットに関心があるからだ。ペットに無関心な人は「動物病院なんて、この辺にあったっけ?」と思っているだろう。
これも、引き寄せの一種だと思う。自分の周波が「ペット」に真っすぐ向かっているのだ。
思考が自分の方向性を選択する。
人は一日のうちに何度も、ちょっとしたこと、考えるまでもないことを選択する。
寝室からキッチンに行くまでの通路で、どこを通る? 二種類あるうちのお箸のどちらを使う? ネットを開いたら飛び込んできた記事のタイトルの、どちらを先に読む?
ほんとに小さい小さいことの繰り返しだ。
あなたと私では、昨日と今日では、雨の日か晴れの日かでは、起きる時間が3分早いか遅いかでは、選択肢がちょっとずつ異なっていく。
自分の中の明確な「思考」は、日々の生活の中の小さな選択肢をちょっとずつどこかに向けていく。
選択肢の先には、やっぱり自分が欲しいもの、目指す場所があってほしい。
それを意識的に行うことが「引き寄せの法則」なのだと思う。
この世は多次元…見えてない人と見えている人がいる
私はこの世は人が感じられる「3次元」だけでなく、見えないものであふれた多次元の世界だと思っている。「思考」は、個人の頭の中にだけしかない「脳の働き」ではなく、身体という物理的なものから離れた場所でも働いているのでは…と思っている。
引き寄せの法則は目に見えないけれど、必ず自分の周りにある。