明日は我が身の災害に備える
例えば、30歳以上の人でこれまで何の災害(天災)も経験したことがない、という人はいないのではないだろうか。もしくは、ニュース等で被害を見聞したことがない、なんていう人がいたとしたら、もはや大人としての常識が欠けているといっても過言ではない。
では、いつかは自分の身にも災害が降りかかって「被災者」になるかもしれないと自覚し、何らかの備えをしている人は?
…というと、日本人の半数を下回るといわれている。
本当に災害に備えた対策を出来ているのか、改めて防災について考えてみよう。
災害を想定する
防災対策といっても、これをしておけば万全という方法はない。
また、災害といっても台風や洪水、地震や津波、いろいろある。
何を備えていたらわからなくなるが、100%の対策はないからと、諦めて何もしない0の状態にするのではなく、限りなく100%に近づけて、命と財産(家族も含め)を守っていきたい。
ちなみに、前もって予測できる台風等と、何の前触れもなく訪れる地震とは、災害に対する心構えも少し違ってくるが、どのみち「家が壊れたら」「停電になったら」と、備えておくべきことは同じなので、「防災対策」として一緒に考えたい。
すべての家庭が準備しておくべき防災対策
停電、断水になったら…
命も守れ、家が無事だったとしても、インフラが止まってしまうケース。
水が止まったらスーパーや自販機で買えばよい、と思っていたも、このような状態になると多くの人々がスーパーなどに押し寄せて、食料や水、電池などを買いつくしてしまう。
東日本大震災のときが、まさにそうだった。私自身は被災地域からは遠く離れていた場所に住んでいたにも関わらず、スーパーなどの棚が空っぽになっているのを見た。災害そのものだけでなく、パニックになってしまう人の心理の方にも備えたい。
まずは最低3日間、できれば1週間分くらいは、飲み水や、ガスや電気がなくても作れる食料などは用意しておきたい。
トイレはどうする?
水や食料がなくては生きていけないが、トイレなどその辺で済ませればいい…というわけには、実際にはいかない。トイレが与える衛生上、精神上の影響はものすごく大きい。
固めるトイレなどをたくさんストックできればよいが、使い果たしてしまったり、置いておくスペースがないという場合は、家にあるもので代用できるようにしたい。
家にあるものでトイレを作る!
トイレの中にビニール袋を入れて、その中に用を足す。
可能なら、水分はペット用シートやおむつ、なければ新聞紙をちぎったものなどで吸いとる。
そのビニールは、ゴミ収集車が来るまで保管しておかなければいけないため、ゴミ袋を何重にも重ねたり、家じゅうにある消臭グッズで臭いをごまかす。
本来、こんなことはしたくないし、市販の簡易トイレを山のように準備しておけばよい、とも考えるが、「今あるもので何とかする」方法は知っていて損はない。
お風呂に入れなくても
お風呂くらい我慢しても命にかかわることはない…のは事実だが、お風呂なしの生活も衛生上、精神上よろしくないので、ウエットティッシュで体を拭く。
通信方法も考えよう
一時的に通信機器が使えないこともある。非常時にネットサーフィンやオンラインゲームをすることはないと思うが、情報収集や知人に無事を知らせる方法は確保しておきたい。
とりあえず必ず備えておきたいものリスト
上記の必要なものをまとめてみると、以下の通り。防災のためだけでなく、普段の生活の中で使えるものを少し多めに用意しておく、ということを考えてリストアップしてみた。
- 飲料水/ペットボトル
- 一人につき1日2リットル前後と言われている。これを1週間分×人数分準備。
- 手洗い等に使う水
- エコキュートがあれば、少し内部に水が蓄えられている。水道水をペットボトル等に入れて保管しておいてもOK。日が経ちすぎたら植木の水やりにでも使う。
- ウエットティッシュ
- 手を拭いたり、シャンプーの代わりに頭皮の汚れを落とすのに。アルコール入り、なしがどちらもあると使い分けできる。シャンプー代わりに頭皮の汚れを取るのにも使える。殺菌作用のあるアロマオイルを混ぜるとさらによい。
- 非常食
- レトルト米、カップラーメン、缶詰など。普段食べるものを多めにストック。
- カセットコンロ
- カセットボンベは6本ほどストック。
- ビニール袋、ペットシート、新聞紙、何らかの消臭剤やアロマ
- トイレ用に。簡易トイレがあればベター
- ラジオ(手回し式が便利)
- 情報収集に。
- 懐中電灯エバーブライトなど
- 手回し式だと電池不要。電池、ローソク、マッチ、ライターもあるとベター。
- 緊急ダイアル
- 防災グッズではないが、あらかじめ知人等にも知らせておくとベター。
地震に備える部屋作り
震度が大きい地震に遭遇することは、もしかしたら生きている間にはないかもしれない。だが、震度5クラスであれば「必ずある」と思って暮らしていた方がよいと思う。(私はすでに震度5強を経験しているが、これが終わりではないだろう)。
グッズを用意するだけでなく、家を安全な状態にしておきたい。
すぐにできる防災対策
- 寝るときは、頭や体に何かが落ちたり倒れたりしないようにしておく(家具の位置など)
- 家具は基本的に耐震グッズで倒れないようにする方がよい。特に気を付けたいのは割れ物を収納している場所。できれば割れ物や壊れたら困るものは下の段に置く。
耐震グッズを揃える
家具などの転倒を防ぐ耐震グッズをそろえる。震度7クラスの地震に耐えられるものがよい。
家具などが倒れると、誰かがその下にいたら危険であるだけでなく、外に逃げるときに邪魔になる。家のつくりにもよるが、家具の転倒は震度6以上だと可能性が高くなるとされている。
棚などに収納する場合、重いものを下に入れ軽いものを上に置くことで、倒れ方はかなり違う。
家そのものも対策を
家具を固定しても、家そのものが倒壊してしまえば意味がない。家の造りは耐震構造にするのが大前提だ。
なかなか難しい部分だが…そうしなければ守れない命があることは知っておきたい。
また、地震保険に入っていると、大切な家財道具は帰ってこなくても、お金で解決できる部分はカバーできる。
避難する際に備えて準備したいもの
自宅にいることができない状況に陥ったら、急いで避難しなくてはいけない。
恐らく「着の身着のまま」逃げることになるので、ここで活躍するのが「非常緊急袋」である。
上記の災害対策に加え、以下のものを用意しておきたい。
- 非常用持出し袋
- 溶けたり焼けやすい素材より、わずかな間でも燃えにくい素材(アルミックス製など)のもので、両手も使えるリュックを選ぶ。
- 大きめのレジャーシート、フリースひざかけ
- 屋外に避難する場合もあるので、あった方が便利。暖をとるものがあると真冬に助かる(我が家は常に車の中に入れている)
- ロープ・紐、ビニール袋、ガムテープ
- これらは何かと使えるので入れておくとよい。
- 救急セット
- ガーゼ、伸縮包帯、脱脂綿、絆創膏、ハサミ、ピンセットなど。怪我の応急処置に。
- 各種書類
- 印鑑、預金通帳・免許証・健康保険証の写し、筆記用具、親戚の連絡先、家族の写真。
- ただし、普段から非常用袋に入れていると物騒なので、「隠しやすくすぐに取り出せる場所」に置いて、家族に周知しておく方がよい。
- 財布、スマホ
- 財布とスマホは必ず持っていく! と袋に書いておくと忘れない。
- 水、非常食
- 避難所も混乱していることがあるため、チョコレート、缶詰缶入りカンパン、クッキーなど、簡単に食べられてエネルギー補充できるものがあればベター。
- メガネ(使い捨てコンタクト)
- 目が悪い人は、ないととても苦労する。
- 軍手
- ガラスなどが割れて手を切ったりするのを防ぐ。防刃手袋がベター。
- スリッパ、サンダル
- 靴を履く余裕がないこともあるので、瓦礫などで足を切らないように。
- 傘、雨具
- レジャーシート等で代用可。
- 呼子笛
- 大声が出なくても、救助を呼べる
- 着替え
- 冬はできるだけ「1枚で暖かい」コートなどを。また、可能なら3日分ほどの下着もあればベター。
もしも避難所での生活をしなくてならなくなったら…
避難所はプライバシーがなかったり、色々と不便もあると聞く。できれば早めに親戚や知人等を頼れるよう、日ごろから考えておいた方がよいが、どうしても場合に備えて考えておきたい。
以下は、色々な情報を調べてリスト化したが、「長期旅行」の感覚だと思う。
- 日用品:タオル、ティッシュ、トイレットペーパー
- 食器類:缶きり、はさみ紙コップ、箸、皿など
- 衛生・洗面:生理用品、水のいらないシャンプー、石鹸、化粧品、簡易トイレ
- 着替え
とっさの行動&イメージトレーニングが大事!
どんなに万全の地震対策をとっていても、地震は必ずしも「来てもOK」なときに来てくれるとは限らない。
- たまたま椅子の上に乗って食器棚の上のほうを掃除しているときだったら…
- 階段を上っている最中だったら…
- お風呂に入ってシャンプーしている時だったら…
思ったような動きがとれず、「耐震設計の家だから」とか「耐震家具があるから大丈夫」という神話はもろくも崩れ去る。
だから、グッズ等の対策だけに頼るのではなく、日頃からイメージトレーニングや防災訓練をすることが大事かもしれない。
もしも食器棚の掃除中に、お料理中に、お風呂に入っている最中に、寝ているときに…揺れを感じたら何をするか、そんなことを日頃からイメージしておけば、とっさの場合に体も動きやすい。
テーブルがあれば下にもぐる、布団などの厚い布があったら頭からかぶって身を守る、など色々な対策が考えられる。
地震だ! どうする?
地震が起こったその瞬間は、すぐに上や横を確認する。落ちたり倒れたりするものがあったら怪我をしてしまう。
動けるのであれば、地震の様子を確認する前に、玄関などの外に出やすいところや、トイレなどの狭くて壁に守られた安全圏に避難する。
それが難しければその辺にあるものを使って(クッションでも何でも)身を守る。
こんな風に考えておいても、実際にはそんなに都合よく体が動かないかもしれないが、シミュレーションしておくに越したことはない。
予想できる災害のときも準備を
どんなに対策をしていても、地震の場合は「運」次第の部分が大きいが、台風や洪水など、予想できる災害もある。災害が来る前に何らかの備えをしておきたい。
- 外においているものは風で飛ばされないように片づける。
- 雨戸を閉めておく。
- 被害が大きそうな場合は、ホテルなどに避難すべきか検討。(早めに予約)
- 停電、断水に備える。冷蔵庫が使えなくなる可能性もあるため、多めに保冷剤を作っておく。iPhoneなどはバッテリをフルにする(懐中電灯にもなる)
- スーパーの食料や防災用品が売切れがちになるため、早めに準備する。