家事の中に「掃除」というものがある。
掃除は、料理や洗濯よりも難易度が低く、日本では小学1年生から学校の「課目」の一つとして取り入れているところも多い。私立や外国の小学校では、掃除は専門の業者が行っているところもあると聞くが、私自身には小中高すべてで掃除という「課目」があった。
掃除の時間は好きでも嫌いでもなかったが、少なくとも「誰でもできるもの」だと思っていた。
事実、誰でもできることの一つではあるが、小学生の掃除と専門業者の掃除が同じはずはない。仕上がりを比較したらすぐにわかるだろう。業者の方がきれいになっているに決まっている。
家庭の掃除も同じ。小学生並みの掃除か、業者並みの掃除か。
どこまでできるのか、どこを目指すのか、それはその人の状況ややる気によって変わる。
きれい or 普通? 簡単 or 面倒? 掃除はバランスが大事
掃除の究極の目標はやはり「できるだけきれいな状態を保つ」こと、そして究極の方法は「面倒なのでできるだけやりたくない」というのが本音だという人は多いだろう。業者を雇えばそれは解決するが、自分でする場合は、その辺のバランスをとっていきたい(掃除が趣味の人もいるが)。
楽してきれいにするには、「掃除をしやすい状態」を作ることが前提になる。こまごましたフィギュアなどを部屋中に飾っていたりしたら掃除も大変だ。
だが、効率を追求するあまりに何も置かずに殺風景な部屋になるのも味気ないし、暮らしにくい。
結局、「可能な限り、掃除がしやすい状態にし、可能な限り掃除するということになる。やはりバランスが大事だ。
そんなバランス掃除術を考えてみたい。
掃除に必要な道具を見直してみる
掃除グッズをチェック
ドラッグストアに行けば掃除用洗剤は色々販売されているし、無印などの雑貨店でも掃除グッズは多種多様に揃えられている。
そういったものを購入するだけで、部屋がピカピカになる錯覚を覚えるが、もちろんそんなことはありえない。
むしろ、掃除用具が多すぎると、収納場所も必要になったり、余計に散らかることも。
掃除グッズが掃除してくれるわけはなく、あくまで「掃除のアシスタント」である。どんなに優秀な優秀なアシスタントでも、使う側(自分)が使いこなすことができなければ無用の長物。
洗剤、掃除用具やグッズは少ないに越したことがない。
そこで、まずは家庭内にある「掃除をするためのグッズ」を見直してみる。
- 掃除機
- やはり文明の利器は便利である。我が家はロボット掃除機(ルンバ)を使っている。掃除の前に壁や棚の汚れを適当に床に落とし、後はルンバに掃除をしてもらうだけなので時短にもなる。
- ほうき、ちりとり、はたき
- ルンバでは難しい隅の方や棚の上などの埃を集めるのに。ちなみに、スティック掃除機も一応持っているが、ほうきを使う頻度の方が高い。
- 埃取り(ダスター)
- テレビの埃など、狭いところに便利。
- ゴム手袋
- 実は化学薬品と刺激物のアレルギーがあるため、手袋は必須。
- 窓用のスクイージー
- ○○専用のグッズはできるだけ持たない主義であるが、窓の高い部分がどうしても届かないため、伸縮するスクイージーで掃除する。
洗剤をチェック!
- 食器用中性洗剤
- 一般的な食器用洗剤と食洗器用の洗剤。
- 住宅用中性洗剤
- ウタマロクリーナー、マジックリンなど。「窓ガラス用」なども販売されているが、中性洗剤はひとつで十分。ちなみに食器洗い用洗剤と成分はほぼ同じとのことだが、食器洗い用は泡立ち成分が含まれており、掃除には向かない。
- 洗濯洗剤(アルカリ性)
- 普段の洗濯はアルカリ性の洗剤を使っている。
- 洗濯洗剤(中性)
- おしゃれ着等は、布を傷めにくい中性洗剤で。洗浄力は弱めだとされているが、汚れがしっかり落ちるタイプもあるので、中性洗剤だけでもよいかも。
- 柔軟剤
- 無香料のものを使用(あまり見かけないので、探すのに苦労する)。
- トイレ用洗剤
- トイレ用掃除グッズだけは、トイレ内で完結できるよう、専用のものを使用。トイレ専用は除菌作用も優れ、ミントの香りなどで消臭の役目も果たす。
- 酸素系漂白剤
- オキシクリーンなど。除菌、漂白、消臭ができるので、ひどい汚れやペットの物を選択するときに。
- 塩素系漂白剤
- ハイターなど。主にカビやお風呂掃除に。
- ベンジン
- 油落とし(染み抜き)、シール剥がし
ナチュラル洗剤は一通りもっておく
化学洗剤は上記の物だけだが、それとは別にナチュラル洗剤(重曹、クエン酸等)もそろえている。
ナチュラル洗剤のメリットは、組合せ次第で様々な用途に使えるため、いくつも洗剤を使わなくてよいことだ。
重曹(アルカリ性の洗剤)…酸性の汚れを落とす
酸性、といってもピンとこないが「べたべたしているもの」だと認識しておけばよい。
例えば、油汚れ、手あか、皮脂など、間違って触れてしまったら、その後どこも触りたくなくなるような汚れ。
セスキ炭酸ソーダ…重曹のパワーアップ版
セスキ炭酸ソーダは、重曹よりも若干アルカリ性が強いが、基本的には重曹と用途が似ている。
重曹との違いは以下の通りである。
重曹 | セスキ炭酸ソーダ | |
---|---|---|
洗浄力 | 普通 | 強い |
水への溶けやすさ | 溶けない | 溶ける |
研磨力 | 〇 | × |
消臭効果 | 〇 | × |
セスキ炭酸ソーダは汚れ落ちはよいが、においが気になる、クレンザーのような研磨力が欲しいという場面では、重曹が使いやすい。
どちらも最後に酢で中和する。
クエン酸/お酢(酸性)…アルカリ性の汚れを落とす
アルカリ性、と言われてもこれまたぴんと来ないが、アルカリカリカリ…カリカリしている汚れだと認識すればよい。水あか、石けんカス、尿石(または尿汚れ)、電気ポット内の白い汚れ、トイレのアンモニア汚れなど。
クエン酸と食酢の違い
- クエン酸は揮発しない。(鏡など酸を残したいところは、水で5%に薄めたクエン酸)
- 食酢は揮発する。(フローリングの床は、水で2~3倍に薄めた食酢)
色々混ぜて使ってみる
ナチュラル洗剤は、単体でも使えるが、合わせて使うと、それぞれの強みを生かせる。
シンク水垢、排水溝 | 重曹×クエン酸(またはお酢) |
風呂(風呂桶) | 重曹×セスキ炭酸ソーダ(水への溶けやすさ) |
風呂(洗い場) | クエン酸(石鹸カス、水垢)×重曹(研磨力) |