もしも湯水のようにお金と時間を使えるなら、ありったけの理想を詰め込み、今流行りの素敵な家にしたい。
けれど、実際には家にばかりお金をかけられない(かけたくない)とか、管理やメンテにも時間を費やしたくない、ということもある。
それに「今流行の素敵な家」という価値観は、数十年経てばどうしても古臭い印象になってしまう。服やバッグ、スイーツなどとは違い、価値観が変化したからといって、まっさらな状態から新しいものに変えることができないのが、家(部屋)づくりの難しいところ。
だから、家(部屋)は、流行ではなく自分の「好き」をとことん追求したい。
よくないのは、漠然と「モデルルームみたいにしたい」「生活感をなくしたい」と考えること。「モデルルームみたいな部屋」とは、具体的にどんな色彩なのか、どういう雰囲気なのか、よくわからない。そういった漠然としたイメージで部屋づくりをしようと思うと、単に「かわいいと思った雑貨」「人気がある家具」などを選んでしまい、実際に部屋に置くといまいちしっくりこない…ということになりかねない。
イメージを具体的にするために
自分が思う「ステキな部屋」をイメージする
「おしゃれな部屋」「センスのいい部屋」「ステキなインテリア」と一口に言っても、そのイメージするところは人それぞれだ。
例えば、単純に「北欧風」「リゾート風」と言っても、人によって微妙に具体的なイメージが異なることも多い。まずはもう少し具体的に理想の部屋を描いてみよう。
センスがなくてもイメージが沸かなくても、一人ひとり必ず「こういうのがいいな」「こういうのは嫌だ」というものはあるはず。何でもいいから思いつくことをランダムに上げてみよう。
写真でイメージを具体的にしてみる
上記では「言葉」でイメージを書いたが、上記のように言葉にするよりも、実物を見た方が早い。ネットを駆使すればインテリアの写真はあちこちに転がっているので、気に入ったインテリアの写真があったら、とりあえずどんどん保存しておく。
何十枚か集まったら「この部屋のどこに自分が惹かれたのか」を分析してみる。そうすると、自分が思い描いている「シンプル」とはどんな感じなのか、「カフェみたいな部屋」というのはどんなカフェを描いていたのか、が具体的になる。
このイメージがある程度できていないと、「シンプルな家具」と「シンプルな雑貨」を買って実際に部屋に置いてみても、なんだかちぐはぐになることもある。シンプルといっても、モノトーンだったりナチュラルなシンプルさだったり、単にモノが少ない状態だったり、モノは多くても「まとまった感じ」であったり…と、具体的な状態はずいぶん違う。
自分のイメージがしっかり決まっていたら、物を選ぶときに、単に「かわいい」ではなく、「イメージに合っている」という理由で買うようになる。すると、インテリアが段々統一されて、全体がおしゃれに見える。「色彩」「質感」が決まってくるからだ。
自分の「好き」をとことん追求することが、ステキなインテリアの第一歩になる。
今の状態に合わせたインテリアを目指してみる
真っ白な状態からお金をかけてインテリアをコーディネイトするのは難しくない。理想の部屋の写真を見ながら同じように部屋を作ったり、インテリアショップに行ってモデルルームの家具や雑貨を買えばよいだけだ。
だが、すでに手持ちの家具があったり、部屋もリフォームするほどのお金はない…というなら、「今の状態でできるインテリアのコーディネイト方法」を考えるしかない。
本来は「イメージ」→「インテリア」の順で考えたいところだが、既に長く生活をしている場合、今さら大幅にものを買い換えたりするのが難しい場合は、「インテリア」→「イメージ」にした方が手っ取り早い、ということだ。
ただし、この場合も自分の『イメージ』をしっかり描いてから。
恐らく真っ白な状態から好きな色を使ってインテリアを作り上げていたら、この発想は生まれなかっただろう。なぜなら「スパイスになる色」を考えるのは案外難しいのだ。
自分の思い通りのインテリアが難しいと思ったら、既に設置されている設備や手持ちの家具など、部屋のなかで目立っているものの色や質感を生かしてみると、意外とおしゃれでセンスよい空間が生まれる。
部屋は純和室なのにヴィクトリア調にしたい、というのは、成功すればステキな部屋になるかもしれないが、ちょっと上級者のテクニック。下手すれば野暮ったいだけのインテリアになってしまう。
和室で欧米風を目指すなら「日本好きな外国人が住みそうな部屋」や和室で使われている「畳の茶色」「砂壁の緑色」などを取り入れたファブリックなどで洋風に近づけた方がまとまりやすい。