人生は24時間の使い方で決まる。
確かに、環境や才能や運、そして性格など「もって生まれた運命」もあるが、年を重なるにつれ、次第にそれは言い訳として通用しにくくなる。
50代であれば、富豪でも貧乏でも、有名人でも一般人でも、誰にも平等に50年という時間が与えられてきたのは事実。
人生の、数々の選択肢の中で、必ず何かを選んで生きてきたのも事実。
自分に与えられた大切な24時間を、人生がもっとうまくいく方に使えていたら、全然違った50歳になっていたかもしれない。
しかし、過ぎ去った50年はもう二度と、取り戻すことはできない。
ただし、これからの時間はどうにでも操れる。
だから、未来を生きていくために時間管理が必要な理由を考えてみた。
他人ではなく自分自身が時間を操るため
人生には地図などない。
ナビゲーターも方向指示器も方位磁石も何にもなくて、これから向かう道も、いま自分が立っている場所もわからない。
一寸先は常に漆黒の闇だ。
明かり一つない、月や星の優しい光すらない、完全な闇の中では、自分が目の前にかざした手の平すら見えない。
そんな中を、ずっとずっと進み、そして行きつく先は「死」なのだ。
生きていくって、なんて虚しくバカバカしいことなのだろう…
…と、思春期の頃、そう気づいて愕然とした。
大人になっても、「人生の一寸先は闇」という事実も、行きつく先が死であるという結果も変わらないが、だからといって人生が虚しくバカバカしいとは思わなくなった。
何十年先のことは正確に予測できないが、実際には、一寸先程度のことであれば、予想の的中率はかなり高いのだし。
その「予想」とか「予測」が時間管理だ。
確実な地図ではなくても、時間管理をすれば、ある程度は行きたい方向へと導いてくれる。
時間管理とは、時間に振り回されたり追いかけられたり縛り付けられたりするのではなく、自分が時間を徹底的に使うこと。
時間管理は、「着実に前に進む」ためのもの。
時間に追われているような時も、そうでない時も、時間を管理することで人生は大きく変わる、かもしれない。
前に進むための障害となるものがあらわれたら、可能な限り取り除く。
やりたいことをする人生を送るために、正しい時間管理をしていこう。
やりたいことをするため
時間管理とは、単に計画通り実行するではない。
肝心なのは本当にやりたいことをできること。
日々のルーティンや、取り急ぎすべきことを片付けても、何だか達成感もないし、自分が何をやってなぜ生きているのかすらわからなくなる。
自分は今後、どんなふうに生きていきたいのか。
夢だとか目標だとか、改めて考える必要はないが「健康で長生きしたい」とか「周囲に介護で迷惑をかけたくない」とか「ミュージカルをたくさん見たい」とか漠然とした「人生のテーマ」を考える。
「とりあえず愛犬の寿命が尽きるまでは彼とのかけがえのない時間を目いっぱい楽しんで、その後は海外旅行にでも行ったりして自由に過ごし、足腰が弱くなってきたら、映画を見たりして楽しみ、自立した暮らしが大変になってきたら老人ホームに入る」というのが、漠然とした自分の「夢」だ。
考えなくても、多分、何とかはなる。
けれど、年齢が上がると、これまでは問題なく行えていた「現状維持」も難しくなってくる。
だから、どう生きていきたいかを決めて、そのためにどんなふうに自分の時間を使っていくかを考える。
もちろん、予定は未定、自分も周囲も想定外の出来事はたくさんあるだろう。
予定は未定なのは当たり前、予定は決定ではないのだから。
絵を描くとき、最初にスケッチブックにひく鉛筆の下書きのようなもので、消しゴムでどんどん修正していけばいい。
そういえば、油絵をたしなむ友人が「油絵は上から何回でも塗りつぶして描きなおせるところが好き」と言っていた。
描きなおしをするためには、描くこと。沢山描いて、沢山描きなおす。
今できることをするため
時間管理とは、時間を大切に使うこと。
やりたいことをあれこれ書きだし、予定も決めて手帳に書きだしても、実現できないことは多々ある。
それは「何かの邪魔が入った」という外的要因もあるが、「気が乗らなかった」「面倒になった」「やり始めたけど飽きた」という内的要因も大きい。
外的要因に関しては、「邪魔が入りそうなタイミング」をなるべく避けるという方法も取れるが、内的要因に関しては…難しいところ。
仕方ない、人間だもの―そう言い訳してきた。
子供の頃から予定表を作るのが好きだったが、それはほとんど守られたことがなく、それなのに「予定表を作れば上手に時間を使えるはず」だと、何度でも何度でも作ってきた。
本当に時間を上手に使える人は、「今できること、今からできること」に時間を費やすのが得意だ。
それは、彼らがいつでもやる気に満ち溢れて自分に厳しいから、だと思っていたが、実はそうではないらしい。
「(どんなに気が乗らない)今(であっても)、できること(ちょっと立ち上がるくらいならできる、PCの電源を入れることくらいならできる)」が分かっているから、らしい。
どんなに未来が広がっていようと、何か行動を起こすタイミングは、常に「今」しかない。
時間管理を行うことは、家計管理を行うのと同じくらい、いやそれ以上に大切なこと。
どちらも有限だが、家計管理については収入も支出もコントロールできるのに対し、時間は「1日一人当たり24時間」というのは、誰にも変えることのできない事実だ。
若い頃も、そして年を重ねても、時間を管理し、自在に扱うことで、人生は大きく変わっていく。
今何をしている?
30分後の自分は何をしている?
それが、自分の未来を形作っていく。