国内旅行をしようと思ったら「行く場所」を決めます。海外旅行と同様に、国内旅行でも「個人旅行」と「パッケージツアー」の二通りがありますが、特に近年、個人旅行が旅行全体の9割を占めているというデータもあります(観光庁の統計より)。
どちらの形態にしろ、「どんな旅をするか」を決めるのは自分です。
どんなふうに決めていけばよいでしょうか。
旅程を決めるために
旅したい! では何から決める?
旅をする場合「○○したい」「○○に行きたい」と、行先や目的がはっきりしている場合と、単に「年末に旅行したい」「2泊3日でどこかに行きたい」と漠然と考えているケースがあります。
また「○○地域(例えば東北とか)に行きたいけれど、何をするかは決めていない」というケースもあります。
旅行したい…と思った時に、はっきりと決められるのは日程や期間、あるいは予算だけ…と言うことは、忙しい社会人にとって珍しくないことでしょう。
それでも、日程や予算だけでも決まっていたら、とりあえず旅への具体的な一歩は踏み出せた、ということになります。
予算については、格安で旅をする方法もあるので、まずは「日程」を基準に、どんな旅を出来るか考えてみましょう。
日程で旅程をプランニングする
当たり前のことですが、期間が長ければ長いほど、色々な場所に行け、様々な体験ができます。例えば、1ヶ月あれば日本一周も夢ではないでしょう。
とはいえ実際には、1泊2日もしくは2泊3日、長くて1週間程度、というケースが多いのではないでしょうか。
というより、旅慣れていない場合は、「自分(家族)へのご褒美」とか「特別なイベント」として旅行をする場合が多いと思われるので、あまり長い期間旅をしていると、疲れたり飽きたりすることもあるかもしれません。(海外旅行の場合は、そもそも移動や手続きに時間がかかるため、ある程度の日数を確保する必要がありますが)
そこで、ここでは日帰りから二泊三日のお手軽旅行をする方法についてまとめてみます。
日帰り旅をプランニングする
日帰り旅行でどこまでいける?
日帰り旅行とは宿泊が含まれない旅のこと。宿泊費がかからず手軽に行けるというメリットがある一方で、どうしても行ける範囲が限られてくるというデメリットも。ここでは費用に関しては考えないという前提で、日帰り旅行をプランニングしてみます。
往復にかかる時間
往路
できれば現地には午前9時~10時には到着しておきたいところ。となると、朝6時に家を出れば「3時間程度」、7時だと「2時間程度」、8時だと「1時間程度」の範囲の場所なら行けるということになります(9時着を想定)。
復路
帰宅時間についても公共の交通機関の場合は概ね限定されます。
ただし「泊まらない」ことが前提なので、例え日をまたいでも、最寄りの駅や空港で適当な到着時間がなくても、タクシーとかを乗り継いで何とか帰り着くことは可能。そうすれば、例えば夜の9時くらいまでは遊べる場合も。
また、上記の時間はあくまで「駅から駅まで」。日帰り旅行で公共の交通機関を使う場合は、そもそも発着の時刻が決まっているため、居住地や目的地からの時間を含めて計算します。
近場ならのんびり旅もいいですが、日帰り旅行は時間を有効に使う方が満足度が高くなると思います。
居住地からの具体的なプランを考える
さて、具体的に私の住む福岡市からの日帰り旅を考えてみます。
九州本土は全域可能。本州は新幹線利用で岡山(駅まで2時間少し)あたりまで(それ以降は駅から離れた場所へ移動する時間がなくなる)。実際の行動も考慮すると、広島辺りが限度か。
飛行機なら東京、韓国など可能な場所も増えるが、やはり駅や空港から一日(半日)で行ける範囲に限られる)。
とはいえ、これは「日帰り旅行が可能かどうか」という観点から計算したもの。実際にやるとなると「弾丸旅行」になる可能性もあります。
それはそれで楽しいとは思いますが、ここではある程度の余裕を持ちつつ旅を楽しむということで、現実的な旅プランを考えたいと思います。
Googleマップでは、出発点(居住地)から現地までの概ねの時間が一発で計算できるので、それをもとに「我が家からどこまで行けるか」を考えてみました。
(私が住む)福岡市のとある場所からの日帰り旅行
1時間以内
(車もしくはローカル線など)大宰府、糸島、鳥栖、三瀬、久留米、吉野ヶ里遺跡、唐津(一時間と少し)、朝倉
(新幹線利用)小倉
1時間半以内
(車利用)飯塚市、小石原、宗像、小倉、小城市、日田市、佐賀城、武雄市、嬉野市、大牟田
(新幹線利用)新下関・新山口駅
この辺りが現実的ではないでしょうか。
ただし「駅」で計算した場所については、その後の目的地への移動も別途加算されるため、実際にはもう少し綿密にプランを立ててからの方が、具体的な所要時間が分かると思います。
日帰りの目的地をエリアで絞る
日帰り旅行は、例えばある一つの県であっても、全域を周るのは厳しいです。
そこで「観光エリア(マップ)」などをチェック(検索すれば出てきます)。エリアが分かれている場合、地形の問題で隣接していても交通が不便だったりするので、エリアは出来れば一つ、多くても二つ程度に絞ったほうがベター。
日帰り旅行のオーソドックスなプラン
可能なら7時台、遅くとも8時台までには出発。
建物などを中心に旅する場合は、到着してもお店などが空いていなかったら意味がないので、営業時間に着くようにしても。ただし、早く着いた場合は、その街を散策して景色を楽しんだり、朝から空いている地元のカフェに行くなど、様々な時間が過ごせます。駅でパンフレットをもらったりしても。
9時台か10時台に到着。
まずは一番の目的地、または目的地の中で最も遠い場所へ。日帰り旅では色々詰め込むのは難しいので、とりあえず「ここだけはどうしても来たかった」という場所を決めておきます。
11時半にはランチ。早めの方が空いている可能性あり。工程の都合上難しい場合は、1時半過ぎでも。予約ができるならしていく方がベター。
午後の時間は2番目に行きたい場所へ。午前の場所と多少離れていても、最終的にその日のうちに帰れそうならOK。
ランチが早かった場合は14時、遅かった場合は16時くらいにカフェなどで一休みしても。
早ければ18時台、遅ければ…何とか帰り着くまでの時間に復路へ。
観光時間は10時~18時だとすると約8時間。思った以上に楽しめそうです。
日帰り旅行の場合、例えば「美術館巡り」などテーマを決めることもありますが、私は何か一つにものすごく造詣が深いとか関心があるといったタイプではないので、午前が美術館なら午後は庭園や寺社散策など屋外での時間を入れたり、割とバラエティーに富んだ旅をする方が好きです。
それに日帰りの場合は美術館が離れていたら移動だけで時間を使ってしまうので、むしろ目的地はひとつにして、そこを中心に楽しめる場所を探します。たとえそこが「ただの田舎の風景」「どこにでもありそうな住宅地」であったとしても、住んでいる場所とは何か微妙に違っていたりするので、そういうのを探す楽しみも。
一泊二日の旅をプランニングする
一泊二日になると、宿泊が含まれるため、日帰りよりはずいぶん余裕ができます。
- 往復時間をもう少し含めてもよいので日帰りよりは遠い場所に行ける。ただし、午前中には着いておきたいので、実は日帰りで行ける範囲より少し遠い程度。
- 日帰りで行ける範囲に宿泊を含めてもよい。温泉やホテルでのんびりしたりする、という旅の「クライマックス」ともいえる時間を味わえる。
- 飛行機で2時間程度で午前中に就く場所でも可能。発着時刻によっては時間に余裕がないこともあるので場所にもよる。
- 一泊二日と二泊三日の違いは、乗り換えの有無も。前者でも乗り換えを旅程に組み入れてもよいが、ロス時間が出てしまうことを考えると、二泊三日の方がよい(特に飛行機移動の場合)。
- 二泊三日になると、極端な場合、1日目、3日目はほぼ移動時間であっても、中1日プラスアルファで観光などができる。
ここでは、一般的な「1泊2日」あるいは「2泊3日」の国内旅行をプランニングしてみます。
ただし、この場合は「どこへ行って何をする」がまったく決まっていません。
家族会議など始めたら意見が合わずグダグダになりがち…ですが、せっかく「余裕」があるのだから、ぜひ意見をまとめて楽しい旅をしたいですね。
一泊二日でどこまで行ける?
行こうと思えば割と遠くまで行けたりする宿泊を伴う旅行。ですが、現実的にはある程度の「近中距離」の範囲内で旅を楽しみたいと思っています。
(私が住む)福岡市のとある場所からの日帰り旅行
一泊二日、あるいは二泊三日で行ける場所は結構あります。
例えば、東京、北海道、仙台、沖縄などの直行便がある場所(FDAなら新潟、松本、静岡、名古屋も)。また関西、淡路島、小豆島など陸のルートでも行ける場所。
WEBで調べてみよう
行ける場所を書いていたらきりがないので、旅行会社のサイトで調べてみるのがオススメ。
おすすめは「阪急交通社」のサイト。国内ツアーで日程と大まかな場所(東北など)を入力すると、候補地がずらっと出てきます。その中から気になるものをピックアップ。旅行会社のサイトからは宿泊費も含めた料金が表示されているので、予算を組むのにもオススメ。
ちなみに、飛行機の就航路線は時々変更されます。空港の「フライト情報」などでチェックしてみましょう。
効率よく動くために
旅は何も調べず考えずにぶらりと出る「ブラ旅」も素敵ですが、前もって考えていた方が、実は旅先でのストレスも少ないということも(この辺はその人の性格にもよりますが)。なので、ある程度の準備は旅の前にしておきます。
お昼ごはんを考えておこう
目的地への到着時間によってランチを食べる場所が変わってきます。「その時になって考えよう」と思っていたら、見知らぬ土地で何も探せず終わることもあるため、あらかじめ決めている方が無難。
到着が遅くなるなら→移動中に食事するのも手。
昼頃に目的地の駅や空港に着くなら→その周辺の食事処をチェック。大きな駅であれば、おいしい飲食店がある可能性大。
予約をしよう
余裕を持って食事を出来そうなら→観光地は混雑することも予想されるので、行きたいところがあれば予約するのが無難。また、「コンビニくらいあるだろう」と思っていても、人家が少ない場所ではそうとも限らないため、下調べはしておく方がベター。
目的地と目的地の間で楽しめるものはないか地図で調べておこう
ガイドブックなどでは「観光スポット」、グルメサイトでは「おすすめのお店」が紹介されていますが、どちらも場所単体での紹介。どうしてもそこへ行くまでの移動が必要となりますが、移動をただの移動にするのはもったいないと思っています。
そこで、必ず地図をチェック。
地図を見たら「目的地の近くに何かお店がある」などと気づくので、調べてみると自分が関心がある場所だったりすることも。
実際に行く余裕があるかどうかは別にして、これらをリストアップして旅程の中に何となくメモっておくと、移動の楽しみや、中途半端な空き時間を過ごすヒントにもなります。
移動中の過ごし方も考えておこう
移動中にすることも決めておくと、旅が充実します。おしゃべり、寝るといったことでもOK! 寝過ごしには気を付けましょう。
自分の場合は、目的地を舞台にした小説などを読み、気分を高めます(北海道の稚内方面に行った時は、三浦綾子の「天北原野」、伊勢神宮に行くときは、阿刀田高の「古事記」、城崎に行った時は、志賀直哉の…これは皆考えそうなことですね)。
逆にやらないことは、文字を書くこと。揺れる車内で下を向いて文字を書いていると…酔います。
何もせずにボーっとするのもよいですが、長時間の移動になると飽きるので、「とりあえず本でも読んで(時間つぶし)、疲れたらボーっとするか寝る」というのが、自分の過ごし方です。
目的地での「所要時間」を見積もっておこう
例えば観光名所などに行く場合、そこでの所要時間はどのくらいになりそうか調べておきます。例えば「絶景を見る」であれば、行く時間は長くても、滞在時間は「写真を撮ったら終わった」という風になることも。
地図を把握しておこう
どこかへ行くときに、移動手段や宿、目的地のみを調べていると、今自分が地球のどこにいるのか、がよくわからないことがあります。ここは首都から南? 北? 次の目的地はどっち方面?
そんなことを知らなくても旅は楽しめますが、今の時代、どこにいても「自分の居場所」が地図マップで確認できるので、ぜひ把握しておきましょう。その際は、近隣だけでなく、ある程度は縮小した図(都道府県単位くらい、できれば地形がわかるもの)を見ます。すると、海や山なども表示され、何となくその土地の成り立ちや歴史が分かるのです。
旅行に行く前の知識はどのくらいあったらよいか
観光地を訪れる時は、ガイドブックを隅から隅まで読んで知識を頭に叩き込んでおく…なんていう必要はないと、私は思っています。
何か特別に研究したいものがあったり、目的がある場合は別ですが、気楽に楽しむのも観光の一つだと思うから。
とはいえ、そこに対する知識がほぼ皆無だと、むしろ楽しめずに当惑してしまい、面白くなかったと思うことも。
なぜなら、多少の知識があると「こういう場所だ」というイメージがあらかじめ頭の中で構築され、それが現実のものとして楽しめますが、ほぼ知識がないとイメージは自分が勝手に頭の中で作り出したものだけ。
せっかく新しい体験をするのなら、新しい知識もお供にすると、より満足いく旅行が楽しめるのではないでしょうか。