ホテルにはランクがありますが、庶民向けの「中級ホテル」、そしてちょっと奮発したい「高級ホテル」の選び方についてまとめています。
中級ホテルの選び方
高級ホテルと低価格ホテルの間にある「中ぐらいホテル」の選び方
高級ホテルは民度が高いが価格も高い、低価格ホテルは様々な国や年齢の人が集うため、秩序が乱れがち…ということをよく聞きます。
ということで、その中間にあるホテルを選ぶ人も多いと思います。中級ホテルの最も分かりやすい基準は価格だと思うので、価格にすると1万~3万円、といったところでしょうか。
しかしホテル選びは結構も難しいのです。
中級ホテルは数が多く、サービスも千差万別で、人によって満足度も大きく異なるからです。
満足度とは「期待しているものと実際との差」だと言われます。
そして「期待しているもの」とは、人それぞれなのです。
「もっと静かだと思っていた」「虫なんかいないと思ってた」「荷物ぐらい持ってくれると思ってた」
こんな風に、無意識の期待があり、それが違っていたら「星1つです」ということに。
家族向けのサービスを売りにしているホテルは、カップルは満足できないかもしれません。
田舎が好きな人が書いた口コミは、都会育ちの人とは感覚が合わないかもしれません。
熱いお湯が好きな人は、ぬるい温泉では入った気がしないかもしれません。
口コミを正しく読もう
かつては、ホテルやガイドブック(ホテルが掲載費を支払っている)が出す情報しかわかりませんでしたが、今では「口コミ」によって、実際に泊まった人の声が聞ける時代。
ホテルを決める際は、この口コミも大いに参考になります。
口コミは、一般人の個人的な意見なのですべてが正解ではありませんが、正しく読むと冷静に判断できるのではないかと思います。
星の数はあくまでざっくりとした基準
星の数は多ければ多いほどよい…かというと、そういうわけではまったくありません。★4.8だけれど宿泊費は5万円以上で評価者が5人しかいない…という場合も。
★は必ず「評価者の数」とセットでみます。
評価者が少なすぎると、たまたま行った数人の主観しかわからず、あまり参考になりません。
また、日本人は特に不満がなかったとしても、「星5つ」で評価することは少ないそうです。
マイナス要素をこれと言って思いつかなくても「別に問題はなかったけど、4.5くらいにしとこうかな」と評価するそう。
だから、評価者数は100人以上、星の数は3.5以上くらいのホテルは「概ね悪くないホテル」だとざっくり判断するのがよいかもしれません。
「詳しい人」の意見を聞こう
例えば、普段からあちこちのコンビニを利用している人が「セブンイレブンはこういう商品が豊富」「ローソンはこういうところが強み」と語っていたとしたら、多分それはある程度信用できる情報です。
けれど、年に数回しかコンビニを利用しない(私のような)人間が「セブンイレブンの○○はまずい」と言ったとしても、全く参考にならないといえます。なぜなら、他のコンビニの状況を知らないので、その意見は同じジャンルの何かと比較しているわけではなく、単に「自分はこうだと思っていたのに違っていた」という主観に過ぎないからです。
ホテルへの評価も同じ。
例えば、普段は格安ホテルに泊まっている人が、記念日か何かで高級ホテルに泊まって悪い評価をつける、というケースをときどき見かけます。
高級ホテルへの低評価は、「普段は泊まらないけれど、記念日などに奮発して泊まった」という場合に起こることが多いようです。
(自分の中で)奮発したのだから、(自分の頭の中にあるような)良いサービスを受けられるはず…と思っていたら違っていた、という場合です。
高級ホテルをいくつも泊まっている人と、格安ホテルしか知らない人では、むしろ後者の方が厳しい評価をする傾向にあるようです。
また、的外れなコメントもちらほら見られ、正直なところ「参考にならない」ものも少なくありません。
「よくわかっていない人」が「適当に」書いているコメントに左右されないようにしたいです。
接客への評価はそのときの状況まで想像してみる
ホテルでは、すべてのスタッフと会うことはほぼなく、限られた人としかやり取りしないことが大半です。その中で、たまたま自分を担当した人が、たまたま「ぶっきらぼうだった」「間違えた説明をした」「言い方が悪い」などということはあるかもしれません。
確かに、一スタッフの対応は、その人を管理するホテル側の責任なので、「あのホテルのスタッフの対応が悪い」というのは、ダイレクトに「ホテルの接客に対する評価」になります。
ただし、コミュニケーションというのは、どちらか一方だけで行うものではありません。
口コミに書かれていない様々な状況があってからの、そのスタッフの応対だった、ということも考えられます。
宿泊者が横柄だったり、非常識だったりしたりと宿泊者側に問題があるのに、宿泊者の要求が満たされないために「接客が悪い」と評価されることもあります。
接客に関する口コミは、「書き手個人の感想」だと思って読みます。
掃除はホテルの質そのもの、気になる場合は評価の前に部屋を変えてもらおう
ホテルの質は掃除で分かると言われています。隅々まで清掃が行き届いているお部屋で宿泊すると気持ちがよいです。
清掃はホテルマンの重要な仕事なので、きちんとやっていただきたいところですが、やはり「ホテルの質=ランク」に左右されるところは多いと思います。
要するに、バジェットホテル(格安ホテル)は「清掃の質が落ちる」ホテル、という認識を持っていた方がよいかもしれません。
低価格のホテルだからと言って、掃除に手を抜いてよいとは思いませんが、重箱をつつくような清掃に対する文句は、価格相応といった部分もある気がします。
実際に清掃で気になることがあれば、文句を言う前に部屋を変えてもらったほうが、快適に過ごせます。
高級ホテルに泊まる前に
高級ホテルに泊まる意味を理解しておこう
日本では、若い普通の女の子やカップルが「自分へのご褒美」として高級ホテルを利用することも珍しくありませんが、このような光景は、海外から見るとちょっと不思議だと思われるようです。
高級ホテルは庶民がお金を出せば泊まれるというものではなく、上流階級と定義されている人々のものという認識だとか。要するに、その場にあった身なりやマナーを身につけている人が、一流ホテルに泊まる「資格」があるのだと言われています。
日本では、階級の話は一種のタブーなので「お金」が階級になってしまっている部分もあります。
ただ、これはこれで「頑張れば自分も高級ホテルに泊まれる」というモチベーションにもなるので、良い面でもあると思います。
高級ホテルに泊まる自分を演出しよう
前置きが長くなりましたが、高級ホテルに泊まるなら「高級ホテルに泊まる自分」であることは、やはり最低限のルールだと思います。
ハイブランドのバッグや服は身につけなくても、ホテルの雰囲気に合った服装をして、背筋を伸ばした美しい所作で動き、相手を思いやった丁寧な言葉づかいで接する…
こんな風にすれば、「ご褒美高級ホテル」であっても、満足の行く時間が過ごせるはず。
というのは、自分の経験から。
私自身も上流でなく、単なる一般階級に属しているので、高級ホテルは「たまの贅沢(もしくは海外の旅行先)でしか泊まったことはありません。
けれど、泊まるときは「何を着るか」「マナーはどれが正解か」を調べて、頑張って「高級ホテルに泊まる自分」を演出します。
もちろん、現地で分からないことも沢山ありますが、その時は「○○はどのようにすればよろしいでしょうか」と素直に尋ねます。知らないことよりも「知ったかぶり」の方が恥ずかしいので。
また、とても当たり前のことですが「大声で騒ぐ」「部屋を汚す、備品を持ち帰る」といった態度はタブーです(一流ホテルに限りませんが)。
常泊はハードルが高くても…
高級ホテルは、記念や旅の途中に一度だけ泊まるのではなく、常泊しなければ本当の良さが分からないと言われます。
とはいえ、一般の庶民はどうしても「たまの贅沢」としてあちこちのホテルを「経験」する、という泊まり方をすることになります。
けれど、もしも人生の中でたったの数回のチャンスであっても、高級ホテルはただお金を払って泊まるだけでなく、「高級ホテルに泊まる自分」としてふるまいたいものです。
それが窮屈だ、堅苦しくてつまらない…と感じてしまうなら、高級ホテル以外の楽しみはたくさんあるので、そちらを経験した方が素敵な時間を過ごせるのではないかと思います。
伝説のホテルマンが教える 大人のためのホテルの使い方
ホテルに泊まるためのマナー本、というよりも、ホテルというものは本来こんな風にあってほしい、こんなことを心がけてほしいという「ホテル側への要求」と、それを客側が「こんなことまで求めてほしい」「良いホテルはこんなところを見てほしい」というもの。この場合のホテルとは、市井のシティホテルではなく、超一流ホテルの超一流もてなしのこと。なかなかこんな世界に足を踏み入れるのは敷居が高いとも思ってしまうが、いつかは本当の意味での「ホテルステイ」を経験してみたい、と思わせる。